現場見学会:広島平和記念資料館本館免震改修その他工事(終了しました)

下記の通り現場見学会を開催いたします。

日本には、重要文化財をはじめとして多くの歴史ある素晴らしい建築物があります。これらの歴史ある建築物は、当初では想定していない地震発生の可能性や老朽化の影響で構造耐力が不足している面もあり、耐震改修が急務になっています。

一般的には、耐震改修は外観・内観が変化してしまいます。しかし、本工事で採用されている免震レトロフィットは、建物基礎部での免震化を図ることで、極力建物本体には手を加えずに、耐震改修する方法です。

この度、広島市様および施工者様のご好意により、広島平和記念資料館本館の免震改修の工事状況を見学させて頂くことになりました。

普段、なかなかお目にかかれない重要文化財の免震レトロフィットの見学会ですので、皆様奮ってご参加頂きますよう、宜しくお願い致します。

見学会概要 免震ピットの見学、及び、設置された免震装置等の見学。
日時 平成31年3月15日(金)
1回目 13:30~14:30
2回目 15:00~16:00
場所 広島県広島市中区中島町1-2 現場事務所2階会議室
工事名 広島平和記念資料館本館免震改修その他工事
用途 展示場(重要文化財)
延床面積 1,615㎡
階数 地上3階
高さ 13.22m
構造種別 鉄筋コンクリート造
工事内容 免震レトロフィット、その他改修工事
案内・申込

現場見学会事前説明の様子

報告:広島平和記念資料館本館免震改修その他工事

(株)祥構造建築事務所  髙西 群三

この見学会は工期の迫る時期にもかかわらず関係者の皆様、特に施工業者である大林組様の多大なるご協力で実施できました。
前半現場事務所でOHPでの工事概要の説明を受け、後半を現場での説明を受けました。写真撮影等の禁止もあり具体的な技術報告にならなかったのはご容赦ください。見学会の実施日は3月15日、参加者総数は53 名でした。

現場にて見学したことを報告します。改修工事内容は大きく3に分かれています。

①2F展示場の展示方法等の改修(大林組の施工ではありません)

②外装リニューアル(可能な限り竣工時のデザイン、質感に合わせる) 屋根や庇のラインも材料等苦労されていますがシャープに再現されています。

③地下免震 地上部のデザインはそのままなので必然的に地下免震を採用されています。1955年の竣工なので基礎構造は独立基礎となっています。広島デルタなので液状化が発生する地盤です。これらの対策のため免震層の下は杭を打設されています。杭も施工する箇所で場所打ちコンクリート杭と鋼管杭があります。作業空間は建設機械の要求によって決定されており狭い空間での作業は大変であったようです。地中梁の補強はPC鋼棒を併用した増し打ちです。(PC鋼棒を在来地中梁に挿入するための穴あけにも苦労されたようです。) 免震クリアランスを確保するための外構工事との取り合い等現場は最後の追い込みでしたが、整理整頓がされておりきれいな現場でした。伝え聞くところによると本建物の評価を某機関で取得する際免震による耐震改修の審査は厳しくされていたのはもちろんですが、上部構造のピロティ柱の形状の美しさと配筋の巧みさには感嘆されていたとのことでした。

広島平和会館原爆記念陳列館の沿革について 図に示すように当初より3棟並列する全体構成は変わっていません。追記すれば資料館、慰霊碑、平和の灯、原爆ドームは同一軸線上にあります。また2006年には世界平和記念聖堂(中区幟町)とともに第2次大戦後の重要文化財に指定を受けた。

施設配置図